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2023.04.28.
福祉制度解説
障害者差別解消法とは
こんにちは!
障害者就労移行支援事業所スマイルハートです!!
スマイルハートでは、障害をお持ちの方の就労支援を行なっています。
今回は障害者福祉に限らず社会にとっても重要な『障害者差別解消法』について、詳しく解説していきます!!
1.障害者差別解消法とは
2016年に制定され、2021年6月に改正された、比較的新しい法律となります。法律の目的として、「障害による差別を解消し、誰もが分け隔てなく共生する社会を実現すること」とされております。
分け隔ての無い社会として「不当な差別的取り扱い」を禁止し、「合理的配慮の提供」を求めており、障害のある人もない人も共に暮らせる社会を目指すことが目標となります。
この法律の中で言われる「不当な差別的取り扱い」の禁止とは、国・都道府県・市町村の役所・会社やお店などの事業者が、障害のある方に対して正当な理由なく、障害を理由とした差別を禁止することを指しております。
障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針として下記のようなことを禁止しています。
障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する
例)障害を理由に受付や学校の受験、入学や企業への入社を拒否する
場所・時間帯などを制限する
例)障害があるから危ないとの理由で入店を拒否する
障害者でない者に対しては付さない条件を付する
例)同伴者や介助者がいないとの理由で入店を拒否する
2.合理的配慮とは
次に「合理的配慮」とはどのようなことでしょう。合理的配慮とは、国、都道府県・市町村などの役所や、会社やお店などの事業者に対して、障害のある人から社会の中にあるバリアについて何らかの対応を必要としていると意思を伝えられた時に、可能な限り対応(ルールや設備、施設などの変更や調整を行う)する事を指しています。
また障害者権利条約内では、「合理的配慮」は、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの、と明示されております。
また今回の改正により対象となる方も明確となっております。障害者手帳をお持ちの方はもちろんですが、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの、全てが対象です。つまりは障害者手帳を取得されている方のみではなく、社会定期に不利益を生じてしまう方全てと対象が広げられております。
対象となる事業者としても、会社やお店などの同じサービスなどを繰り返し継続する意思を持って行う団体も対象となります。例えば、個人事業者や対価を得ない無報酬の事業を行う者(ボランティア団体等)、非営利事業を行う社会福祉法人や特定非営利活動法人も対象となるということです。
3.対応要領
国・都道府県・市町村などの役所は、それぞれの役所で働く人が適切に対応するために、不当な差別的取扱いや合理的配慮の具体例を盛り込んだ「対応要領」を、障害のある人などから意見を聴きながら作ることとされています。役所で働く人は、この対応要領を守って仕事をします。※都道府県や市町村など地方の役所は、「対応要領」を作ることに努めることとされています。
4.対応指針
事業を所管する国の役所は、会社やお店などの事業者が適切に対応できるようにするため、不当な差別的取扱いや合理的配慮の具体例を盛り込んだ「対応指針」を、障害のある人などから意見を聴きながら作ることとされています。事業者は「対応指針」を参考にして、障害者差別の解消に向けて自主的に取り組むことが期待されています。事業者が法律に反する行為を繰り返し、自主的な改善を期待することが困難な場合などには、国の役所に報告を求められたり、注意などをされたりすることがあります。
対応要領 定める機関:国・都道府県・市町村などの役所 対象:役所で働く人
対応指針 定める機関:事業を所管する国の役所 対象:会社やお店などの事業者
違反が見うけられた場合には
この法律では、民間事業者などによる違反があった場合に、直ちに罰則を課すこととはしていません。罰則ではなく、あくまで合理的配慮や環境の改善を求め、差別を解消していく意味合いが強い為です。
ただし、同一の民間事業者によって繰り返し障害のある方の権利利益の侵害に当たるような差別が行われ、自主的な改善が期待できない場合には罰則の規定があります。
その民間事業者が行う事業を担当している大臣が、民間事業者に対して報告を求めることができることにしており、この求めに対して、行政などに虚偽の報告をしたり、報告を怠ったりしたような場合には、罰則(20万円以下の過料)の対象になります。
まとめ
障害者差別解消法では、不当な差別的取扱いの禁止と、合理的配慮の提供が定められています。不当な差別的取扱いについては、国・地方公共 団体、民間事業主全てが、法的義務があります。しかし合理的配慮の面では、国・地方公共団体は法的義務がありますが、民間事業者は努力義務となっている点が課題ではないでしょうか。しかし、障害者差別解消法が制定された理由や世界的な流れから見ても、障害者に対する配慮が求められる時代になってきています。法的義務や努力義務に関わらず、障がいのある方に対しても対応できるサービスや仕組みを考えていくことが、今後さらに求められると言えるでしょう。