障害者雇用促進法とは -千葉県の障がい者就労移行支援事業所スマイルハート   

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2023.06.14.

福祉制度解説

障害者雇用促進法とは

こんにちは!
スマイルハート株式会社です!

スマイルハートでは、障害をお持ちの方の就労支援を行なっています。
今回は、障害者雇用についてのルールを定めた『障害者雇用促進法』について解説して参ります!

障害者雇用促進法の概要

 障害者雇用促進法は、障害者の職業の安定を図ることを目的とする法律です。障害のある方に対し職業生活における自立を実現するための職業リハビリテーション推進について、また事業主が障害者を雇用する義務をはじめ、差別の禁止や合理的配慮の提供義務等が定められています。

目的と理念、意義

 この法律の背景には、全ての国民が障害の有無に関わらず個人として尊重されること。全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現しようという「ノーマライゼーションの理念」が挙げられます。そして、職業生活においても、障害者は経済活動を構成する労働者の一員として、本人の意思と能力を発揮して働くことができる機会を確保されることを目的とされております。

障害者雇用促進法が義務付けられた背景

 障害を持つ方でも安定して働けるよう、障害者雇用促進法が定められたのには社会的背景があります。ここでは、障害者雇用が義務化された社会的背景について説明してまいります。
1960年「身体障害者雇用促進法」の制定
第二次世界大戦が終わり、国内では「傷痍軍人」と呼ばれる戦争での負傷などによる身体障害者の増加が問題となりました。彼らを雇用するための法整備が急務となり、欧州の「法定雇用率方式」を取り入れた身体障害者雇用促進法が制定され、これが現在の障害者雇用促進法の基盤にあたります。
1976年 法定雇用率制度の義務化
その後1976年に身体障害者雇用促進法が改正されます。法定雇用率の達成は従来義務ではありませんでしたが、この法改正によって法定雇用率が達成すべき義務となりました。さらには義務化にともない雇用給付金制度も設けられました。
1998年知的障害者、2018年精神障害者が新たに雇用義務の対象に
 障害者雇用の対象者は法制化当初、身体障害者のみでした。しかし時代の流れに即して拡大が進みました。1987年には法令の名称が「身体障害者雇用促進法」から「障害者雇用促進法」へと変更されています。その後1998年には知的障害者も雇用義務の対象に含まれ、2018年には発達障害を含む精神障害者も含まれるようになりました。

近年の障害者雇用促進法の改正について

障害者雇用促進法は、障害者の雇用安定を目的として都度改正が行われています。法改正の主な目的は、障害者を雇用する場合に事業者に課されるさまざまな負担の軽減です。先にご紹介した雇用義務の対象拡大にとどまらず、さまざまな助成金制度を設けるなど多くの取り組みが推進されています。
今後も働き方の多様化や情勢変化にともない、法令の改正は都度行われていくことが予測されます。次の項目からは、2010年代における障害者雇用促進法改正にともなう障害者雇用状況の変化について解説します。障害者雇用促進法は、2013年(平成25年)に改正され、2016年(平成28年)4月より施行されています。ここでは、雇用する企業側に影響する主な改正点を紹介します。
①. 精神障害・発達障害者も雇用義務対象範囲に
発達障害を含む精神障害者について、2016年の改正前までは雇用義務の対象に含まれていませんでした。しかし2018年4月より新たに雇用義務の対象となり、法定雇用率の算定基礎の対象に加えられています。
※雇用“義務”とは、必ず雇用しなければならない、ということではありません。雇用対象となる障害者の範囲に、発達障害を含む精神障害者も新たに加えられた、という意味です。
②. 合理的配慮の提供が義務化
合理的配慮とは、障害者が他の人と平等に生活できるよう、一人ひとりの特性や場面に沿った、過度な負担にならない程度の変更・調整のことです。改正によって、提供は義務と定められました。
合理的配慮の具体的な内容や程度については、明確に定められているわけではありません。障害の内容や周囲の環境、配慮をする側の状況により変わるため、具体的にどんな配慮が必要で実現可能かは、障害がある人と事業者や周囲の人たちとの相談にて決めるものとされています。選考活動や入社時、どのような配慮が必要かを確認・検討すること、雇用後も必要に応じて都度、見直していくことが大切です。
③. 障害者に対する差別の禁止
 雇用の分野における、障害を理由とする差別的取扱いを禁止しています。例えば、障害があることを理由に採用を拒否したり、低い賃金を設定したりすることなどが該当します。

雇用の対象となる障害者とは

障害者雇用促進法の条文では、障害者を「身体障害や知的障害、発達障害を含む精神障害、その他の心身の機能の障害により、長期にわたり職業生活に相当の制限を受ける者、あるいは職業生活を営むのが著しく困難な者」と定めています。

A:身体障害者(身体障害者手帳保持者、重度身体障害者も含む)
B:知的障害者(療養手帳など、自治体が発行する手帳の保持者、および知的障害者と判定する判定書保持者。重度知的障害者も含む)
C:精神、発達障害者(精神障害者保健福祉手帳の保持者)で、症状安定し労ができる人
D:精神障害の特性・疾患があるが、症状安定し就労ができる人(手帳を持たない人)
E:A~D以外の心身機能の障害があるが、手帳を持たない人

 障害者雇用として対象となる方は上記の分類ではA~Cの方となります。つまりは障害者手帳を所持されていない方は算定対象外ということです。

障害者雇用率(法定雇用率)に相当する障害者の雇用義務

障害者雇用促進法で定められている義務のうち、企業にとって重要になるのが障害者雇用率(法定雇用率)です。全ての事業主に算出された雇用率に相当する人数分、障害者を雇用することが義務付けられています。
障害者雇用率(法定雇用率)の算出方法

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 2023年4月現在、従業員が43.5人以上いる民間企業の雇用率は「2.3%」となっています。厚生労働省は2023年1月に現状の2.3%から段階的に2.7%まで引き上げる方針を発表しました。

実雇用率と、雇用すべき障害者数の算出方法
企業が自社で雇用すべき障害者の数は何名になるのか、雇用率を達成しているかどうかを確認するには以下の計算式で求めます。

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企業の障害者雇用達成状況

 民間企業全体としては雇用が進み、雇用障害者数は引き続き年々伸長しています。障害者別の内訳から見ると、特に精神障害者の雇用が大きくなっています。ただし、雇用率を達成している企業割合は依然半数以下の数字であり、多くの企業が達成できていない状況です。

企業の雇用に関わる4つのポイント

①障害者雇用率が未達成の事業主は納付金を収める

障害者雇用の納付金とは
 法定雇用率を満たさない事業主は、不足1名につき50,000円の障害者雇用納付金が徴収されます。従業員数や時期によって金額が変動するので注意が必要です。
 この納付金を「罰金」と捉えている方もいらっしゃるかもしれませんが、障害者雇用の義務を果たしている企業と果たしていない企業の経済的な負担を調整するために支払物であり、罰金ではありません。


②障害者雇用率を達成している事業主には調整金・助成金が支給される

障害者雇用の調整金とは
法定雇用率を達成している事業主は、一定の調整金が支給されます。支給額は以下の通り、常用労働者の人数によって異なります。
・常用労働者100人超の企業:月額27,000円×超過人数分の調整金
・常用労働者100人以下で、障害者を常用労働者の4%、または6人のうち多い数を超えて雇用している企業:月額21,000円×超過人数分の報奨金


※障害者雇用の助成金とは


雇用を推進するため、企業は国から様々な助成金を受け取ることができます。
以下の3つの分類があり、それぞれに様々なコースがあります。
・トライアル雇用に対する助成金
・継続雇用に対する助成金
・継続して雇用する障害のある方への配慮に対する助成金


③在宅就業者特例報奨金が支給される
自宅などで就業する障害者の方(在宅就業障害者)に、従業員が100名未満の企業が仕事を発注する場合、障害者雇用納付金制度において企業には報奨金の支給が行われます。業務の発注には2つのパターンがあり、企業が在宅就業障害者へ直接仕事を発注する場合と、 企業が在宅就業支援団体(在宅就業障害者に対する支援を行う団体として厚生労働大臣に申請し、登録を受けた法人)を介して在宅就業障害者に仕事を発注する場合があります。
特例報奨金の金額算出方法は、以下の計算式で行います。

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④在宅就業者特例調整金が支給される
 在宅就業者特例調整金とは、従業員が100名を超える企業が在宅就業障害者に対して仕事を発注した場合、企業に支給される調整金のことです。特例報奨金・特例調整金のいずれも、障害者雇用納付金制度において行われ、法定雇用率未達の企業から徴収した納付金によって支給が行われています。
こちらについても業務の発注には、企業が在宅就業障害者へ直接仕事を発注する場合と、 企業が在宅就業支援団体(在宅就業障害者に対する支援を行う団体として厚生労働大臣に申請し、登録を受けた法人)を介して在宅就業障害者に仕事を発注する場合の2パターンがあります。
特例調整金の金額算出方法は、以下の計算式で行います。

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 なお、(3)在宅就業者特例報奨金 と(4)在宅就業者特例調整金 において障害者の就業する場所が「在宅」とされていますが、仕事をする場所は「自宅など」となっています。つまり、就業場所は自宅だけと限られているわけではありません。自宅でなくても、事業所以外の業務可能な場所が提供されていれば、この報奨金・調整金制度の対象となります。

障害者雇用義務を違反した場合の企業側のデメリット

 法律に定められている雇用義務を順守しない場合、どのような措置が取られるのか気になる方も多いのではないでしょうか。違反した場合に受ける罰則を大きく分けて3つにまとめてみました。
①納付金が徴収される
 前の章でも触れましたが、基本的に不足1人につき50,000円の納付金が徴収されます。従業員数や時期によって金額が変動します。
②改善指導が入る
 ハローワークより「障害者の雇入れに関する計画」の作成・提出が求められますが、それでも改善が遅れている企業に対しては、企業名の公表を前提とした労働局・厚生労働省からの指導が入ることがあります。
③企業名が公表される
 雇入れ計画の適正な実施に関し勧告を受け、一連の指導を受けたにも関わらず改善が見られない企業があった場合、企業名が公表され社会的な信頼性を失うことになります。
 企業名の公表に伴い、世間の企業に対するイメージの低下に繋がりかねません。企業として、顧客からのイメージによって販売や利益に直結する可能性もあります。

令和6年度からの障害者雇用に対する法改正について

 現在、企業での就労による障害者雇用の算定は、原則障害者手帳をお持ちの方の雇用と労働時間数に応じて算定されていきます。

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 重度障害をお持ちの方の場合は、換算人数が倍で計算されます。
※ 新規雇い入れから3年以内、または精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内の場合。
※ また令和5年(2023年)3月31日までに雇い入れられ、精神障害者保険福祉手帳を取得した場合。両条件をクリアしている精神障害をお持ちの方については、週20時間未満の労働時間でも0.5人として換算されております。

今までは障害種別を問わず、あくまで労働時間数のみでの計算となっておりました。しかし2024年度に法改正が予定されております。
 原則の就業時間に対する人員換算は変わりませんが、障害種別に応じた換算人数へと反映されてきます。2016年に対象となりました発達障害を含む精神障害をお持ちの方に対し、

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 また重度知的障害、重度身体障害をお持ちの方につきましては、今までと同様に人数換算は倍で計算されます。さらに10~20時間 / 週の短時間労働の方も精神障害をお持ちの方と同様に0.5名換算となる見込みです。
 企業での就労を考えた場合、2024年4月1日以降は精神障害者手帳をお持ちの方の場合、安定して20時間/週以上の就労が難しいと考えられている方に対しても雇用の機会がとても広がります。
 障害者の雇用に対して制度が大きく変化している状況です。私たちスマイルハートは皆様の就労をお手伝いさせていただきます。いつでもお気軽にご相談ください。

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