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2023.04.21.
福祉制度解説
障害者自立支援法とは
こんにちは!
障害者就労移行支援事業所スマイルハートです!!
スマイルハートでは、障害をお持ちの方の就労支援を行なっています。
今回は障害者支援の中でも重要な『障害者自立支援法』について、詳しく解説していきます!!
1.制定の背景
障害者に関する施策は、平成15年4月にノーマライゼーションの理念に基づいて導入された支援費制度の施行によって、従来の措置制度から大きく転換しました。しかし、支援費制度には以下の問題点が指摘されていました。支援費制度が導入されたが、障害をお持ちの方に対するサービス体系が身体、知的、精神という障害種別ごとに縦割りとなっており、障害によっては使いづらい仕組みとなっていたこと。また精神障害者に対しては支援費制度の対象外であったことが挙げられます。
また地方自治体によっては、サービスの提供体制が不十分であり、必要とする人々すべてにサービスが行き届いていないことも問題視されておりました。例えば働きたいと考えている障害者に対して、就労の場を確保する支援が十分でないこと、就労に向けた支援が十分に提供されないことが考えられます。
さらには支給決定へのプロセスが不透明であり、全国共通の判断基準に基づいたサービス利用手続きが規定されていないことも問題でした。各自治体が主動となり支給決定、判定を行っていた為、自治体や対応した職員の判断に差が生じてしまいことも懸念されました。
支援費制度を導入した上で生じた制度上の問題解決を図り、障害をお持ちの方が地域で安心して暮らせる「ノーマライゼーション社会」の実現を目指して障害者自立支援法は制定されました。
2.障害者自立支援法のポイント
障害者自立支援法には、次の5つのポイントがあります。利用者本位のサービス体系
障害の種別(身体障害・知的障害・精神障害)にかかわらず、障害のある人々が必要とするサービスを利用できるよう、施設・事業体系が機能に着目して再編されました。障害者一人ひとりのニーズや適性にあった支援目標と支援プログラムの提供に対し、より重点が置かれるようになりました。より個々に応じたサービスの利用や提供に繋がるように制度が見直されております。サービス提供主体の一元化
今までは、サービスの提供主体が県と市町村に分かれていましたが、サービスの実施主体も市町村に一元化され、都道府県がバックアップする体制となっています。なお、各障害に固有の制度は引き続き各法に規定されています。支給決定手続きの明確化
支援の必要度に応じてサービスが利用できるように障害程度区分が設けられました。また、支給手続きの公平公正の観点から市町村審査会における審査を受けた上で支給決定を行うなど、支給決定のプロセスの明確化・透明化が図られました。さらには、支給決定に不服がある場合は都道府県に不服審査申立ができるようになりました。就労支援の強化
働きたいと考えている障害者に対して、就労の場を確保する支援の強化が進められています。新たに就労移行支援事業が創設され、障害者がその適性に応じて働けるよう福祉と雇用の連携が強化されます。安定的な財源の確保
国の費用負担の責任を強化(費用の2分の1を義務的に負担)し、利用者も利用したサービス量及び所得に応じて原則1割の費用を負担するなど、みんなで支えあう仕組みになりました。
3.障害者自立支援法の具体的内容
(1)利用者本位のサービス体系
サービスは、個々の障害のある人々の障害程度や勘案すべき事項(社会活動や介護者、居住等の状況)をふまえ、個別に支給決定が行われる「障害福祉サービス」と、市町村の創意工夫により、利用者の方々の状況に応じて柔軟に実施できる「地域生活支援事業」に大別されます。「障害福祉サービス」は、介護の支援を受ける場合には「介護給付」、訓練等の支援を受ける場合は「訓練等給付」に位置付けられ、それぞれ、利用の際のプロセスが異なります。
(2)利用の手続き
障害者の福祉サービスの必要性を総合的に判定するため、障害者の心身の状況(障害程度区分)や障害者の方のサービスの利用意向を十分に把握した上で支給決定を行います。また、障害保健福祉について専門的知見を有する第三者で構成される市町村審査会で公平・公正な支給決定が行われるよう審査を行います。
(3)利用者負担の仕組み
利用者負担は、支援費制度のような所得のみに着目した応能負担から、サービス量と所得に着目した負担の仕組み(1割の定率負担と所得に応じた月額負担上限額の設定)に見直されております。また障害種別で異なる食費・光熱水費等の実費負担も見直され、3障害共通した利用者負担の仕組みとなります。ただし、定率負担、実費負担のそれぞれに、低所得の方に配慮した軽減策が講じられ、無理のない負担でサービスが利用できるよう最大限の配慮がなされています。
(4)自立支援医療
障害者医療費に係る公費負担制度は、身体障害者福祉法に基づく「更生医療」、児童福祉法に基づく「育成医療」、精神保健福祉法に基づく「精神通院医療費公費」と、各個別の法律で規定されていました。しかし障害者自立支援法の成立により、これらを一元化した新しい制度(自立支援医療制度)に統合・変更されました。(5)補装具費の支給
補装具(障害者等の身体機能を補完し、又は代替し、かつ、長期間にわたり継続して使用されるもの等。義肢、装具、車いす等)の利用については、これまでの現物支給から補装具費の支給へと大きく変わります。利用者負担についても定率負担となり、原則として1割を利用者が負担することとなります。ただし、所得に応じて一定の負担上限が設定されます。
(6)地域生活支援事業
障害のある人が、その有する能力や適性に応じ、自立した日常生活や社会生活を営むことができるよう、住民に最も身近な市町村を中心として、移動支援事業、日常生活用具給付事業、コミュニケーション支援事業等に取り組みます。都道府県は、専門性のある相談支援事業や市町村域を超えて広域的な支援が必要な事業等に取り組むことになります。
なお地域生活支援事業は、人口規模や公共交通機関の状況等の地域の実情に応じて、地方自治体の創意工夫により柔軟な形態での事業実施が可能となっています。
まとめ
障害者自立支援法とは、2003年に制定された支援費制度で生じていた問題点の解消を目的として制定されております。障害種別に関わらずサービスが選択できることや就労により社会参加を目指される方への支援等、ノーマライゼーションの理念実現を目指した制度となっております。しかし問題点として、障害者がいる低所得世帯であっても全世帯に対して1割負担を課したたことが挙げられます。結果的に障害者や世帯の負担が増加してしまいました。サービスを使いたいけれども、今までよりも費用負担が大きくなる等の問題が生じております。
またサービス提供事業者側にも不評であったため、障害者自立支援法にかわり障害者総合支援法が施行されることになるのです。